シナリオ作家が同人漫画側を著作権侵害で訴えるも敗訴、SNSでの中傷で賠償命令
シナリオ作家が、自身の脚本を無断で漫画化されたとして同人サークル主宰者に損害賠償を求めましたが、裁判所は著作権侵害を認めませんでした。一方で、作家によるSNS上での批判投稿が名誉毀損と認定され、作家側に11万円の支払いが命じられる結果となりました。
基本情報
- 判決結果
- 原告敗訴
- カテゴリ
- 著作権・AI
- 判決日
- 2024-11-29
裁判所・判決日: 2024-11-29
判決結果: 原告敗訴
カテゴリ: 著作権・AI
主な争点
- 著作権(翻案権・複製権等)侵害の存否 - 原告が制作したシナリオに基づき、被告が漫画を制作・販売した行為が、原告の翻案権、複製権、譲渡権、公衆送信権を侵害するか否か。
- 著作者人格権侵害の存否 - 被告による漫画の公表および販売が、原告の著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)を侵害するか否か。
- 原告の投稿による名誉毀損・名誉感情侵害の成否 - 原告が行った特定の投稿が、被告に対する不法行為(名誉毀損または名誉感情侵害)に該当するか否か。
- 不当訴訟の成否 - 原告が本訴を提起したことが、被告に対する不法行為(不当訴訟)に該当するか否か。
裁判所の判断ロジック
- 著作権侵害の主張棄却: 原告は自身のシナリオが漫画化されたことで翻案権や著作者人格権が侵害されたと主張しましたが、裁判所は証拠に基づきこれらの権利侵害を認めず、原告の請求をすべて退けました。
- 名誉毀損の不法行為認定: 原告が行った特定の投稿について、被告の社会的評価を低下させる名誉毀損、および名誉感情を侵害する不法行為に該当すると判断し、原告に対し慰謝料等の支払いを命じました。
- 不当訴訟の成立否定: 被告は原告による提訴自体が不当であると主張しましたが、裁判所は訴えの提起が直ちに違法な不当訴訟にあたるとは認めず、裁判を受ける権利を尊重する判断を示しました。
時系列
- 2013/12/01 - 被告による同人サークルの設立と活動開始
被告(Bii)が同人サークル「Ji」の運営を開始。漫画家などのクリエイターに作画を依頼し、短編漫画を制作・販売する活動を継続的に行う。
- 2021/01/24 - 原告によるSNS等への投稿(名誉毀損の発生)
原告(Aii)が、被告の名誉を毀損し、または名誉感情を侵害する内容の投稿を行う。この行為が、後に被告から提起される反訴の主な理由の一つとなった。
- 2021/04/16 - 著作権侵害を理由とする本訴の提起
原告が、自身の制作したシナリオを無断で漫画化・販売されたことが翻案権や公表権などの侵害にあたるとして、損害賠償を求める訴えを提起。
- 2022/05/06 - 名誉毀損等に基づく反訴の提起
被告が、原告の訴えを「不当訴訟」であると主張し、また原告による過去の投稿で名誉を傷つけられたとして、損害賠償を求めて原告を提訴し返した。
- 2024/09/03 - 裁判所での口頭弁論が終結
裁判所における当事者双方の主張と証拠の提出がすべて完了し、判決を待つ段階に入る。
- 2024/11/29 - 判決の言渡し
裁判所は、原告の著作権侵害の主張を認めず本訴を棄却。一方、被告の反訴については名誉毀損による損害を認め、原告に対し11万円の支払いを命じた。
実務上の学び
- SNS投稿による名誉毀損の賠償責任: 紛争の当事者がSNS等の公衆の面接する場所で相手方を非難する投稿を行った際、その内容が相手方の社会的評価を低下させる、あるいは受忍限度を超える侮辱と判断される場合、不法行為に基づく損害賠償義務が発生する。
- 著作権侵害主張の棄却と立証の必要性: シナリオ等の著作物を原案とした創作活動について、翻案権や複製権の侵害を主張して訴えを提起しても、裁判所において具体的な侵害の事実が認定されない限り、差止や損害賠償の請求は認められない。
- 反訴の提起による原告側の賠償リスク: 著作権侵害を理由として本訴を提起した側が、関連する言動や名誉毀損行為を理由に相手方から反訴を提起され、結果として原告側が被告側に対して賠償金を支払う立場になる事例が存在する。