人気アイドルのチケットを不正入手して転売した男女2名が、組織的犯罪処罰法違反等で有罪判決を受けた事例

被告人2名が共謀し、人気アイドルのチケットを不正に取得して転売した事件です。裁判所は、チケット不正転売禁止法だけでなく、より重い組織的犯罪処罰法などの適用を認め、両名に執行猶予付きの懲役刑と罰金刑を言い渡しました。

基本情報

判決結果
原告勝訴
カテゴリ
消費者トラブル
裁判所
札幌地方裁判所
判決日
2024-10-11

裁判所・判決日: 札幌地方裁判所 / 2024-10-11

判決結果: 原告勝訴

カテゴリ: 消費者トラブル

主な争点

  • 組織犯罪処罰法とチケット不正転売禁止法の併合適用の是非 - チケット不正転売の事案において、チケットの入手から転売までの一連の流れがチケット不正転売禁止法により包括的に評価されるため、組織犯罪処罰法11条(犯罪収益等収受等)を重ねて適用すべきではないという弁護側の主張の妥当性。
  • チケット不正転売禁止法における「不正転売」の評価範囲 - チケット不正転売禁止法3条の適用がある場合に、その評価がチケットの入手過程における違法性(詐欺等)までを尽くしていると言えるか。
  • 電子計算機使用詐欺罪の成否 - 被告人らが人気アイドルのチケットを不正な方法で入手した行為が、刑法246条の2の電子計算機使用詐欺罪に該当するかどうか。

裁判所の判断ロジック

  • 組織犯罪処罰法の適用: チケット不正転売禁止法は入手過程の違法性まで評価するものではないため、組織犯罪処罰法による処罰を重ねて適用することは妥当とされました。
  • 不正転売の広い定義: 同法が禁じる不正転売は、犯罪で得たチケットだけでなく正当に入手したものも対象となるため、入手方法を問わず広く処罰の対象となると判断しました。
  • 適正な流通の確保: 人気興行のチケットを不正な手段で入手し販売する行為は、社会的に公正な流通を阻害する悪質なものとして、厳格な法適用の対象となりました。

時系列

  1. 2024/07/09以前 - 不正な方法によるチケットの入手

    被告人らが、人気アイドルグループのコンサートチケットを、電子計算機を使用した不正な方法(電子計算機使用詐欺)により取得しました。

  2. 2024/07/09以前 - チケットの不正転売および犯罪収益の収受

    入手したチケットを、特定興行入場券の不正転売禁止法に違反して転売し、その収益を組織的な犯罪処罰法に抵触する形で取り扱いました。

  3. 2024/07/09 - 被告人両名の起訴

    電子計算機使用詐欺、組織犯罪処罰法違反、およびチケット不正転売禁止法違反の罪で、検察官が被告人AおよびBを起訴しました。

  4. 2024年(公判中) - 弁護人による法令適用の争い

    被告人Aの弁護人が「チケット不正転売禁止法が適用される場合、一連の行為は同法で評価されており、組織犯罪処罰法は適用されない」と主張しました。

  5. 2024年(判決時) - 裁判所による弁護人主張の退け

    裁判所は、チケット不正転売禁止法は入手過程まで処罰する趣旨ではないとし、組織犯罪処罰法の適用を認め、弁護人の主張を却下しました。

  6. 2024年(判決時) - 判決の言い渡し

    被告人Aに懲役2年6月および罰金50万円、被告人Bに懲役2年および罰金50万円の判決。いずれも3年間の執行猶予が付されました。

実務上の学び

  • 不正な手段によるチケット購入と刑事罰: 虚偽の情報を入力してシステムの処理を誤らせ、チケットを購入する行為は、電子計算機使用詐欺罪として処罰の対象となる。
  • チケット不正転売禁止法による規制: 興行主の同意を得ずに、販売価格を超える価格で反復継続してチケットを転売する行為は、特定興行入場券の不正転売の禁止等に関する法律に抵触する。
  • 犯罪収益の収受と組織犯罪処罰法の適用: 不正に入手したチケットの売却益を得る行為は、組織的犯罪処罰法における犯罪収益等収受罪に該当し、転売行為そのものとは別個の罪に問われる可能性がある。
  • 複数罪名における懲役刑と罰金刑の併科: 詐欺罪やチケット不正転売禁止法違反など複数の罪に該当する場合、刑法の併合罪の規定により、懲役刑に加えて罰金刑が同時に科される仕組みとなっている。

よくある質問

被告人Aに対して言い渡された判決(主文)の内容を教えてください。

被告人Aを懲役2年6月及び罰金50万円に処する。被告人Aにおいてその罰金を完納することができないときは、5000円を1日に換算した期間、被告人Aを労役場に留置する。被告人Aに対し、この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。

被告人Bに対して言い渡された判決(主文)の内容を教えてください。

被告人Bを懲役2年及び罰金50万円に処する。被告人Bにおいてその罰金を完納することができないときは、5000円を1日に換算した期間、被告人Bを労役場に留置する。被告人Bに対し、この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。

チケット不正転売禁止法3条が適用される事案において、組織犯罪処罰法11条は適用されないとする弁護人の主張はどのようなものですか。

チケット不正転売禁止法3条にいう不正転売に当たる事案では、転売にかかるチケットの大半が犯罪収益等に該当する違法性を帯びたチケットなので、チケットの入手から転売までの一連の流れがチケット不正転売禁止法3条で評価され尽くしているから、本件のようにチケット不正転売禁止法3条が適用される事案では、組織犯罪処罰法11条は適用されないと解釈すべきである

弁護人の「チケット不正転売禁止法3条が適用される事案では組織犯罪処罰法11条は適用されない」という主張に対し、裁判所はどのような理由でこれを退けましたか。

チケット不正転売禁止法3条にいう不正転売にかかるチケットは、必ずしも詐欺等の犯罪行為により得られた犯罪収益等に限らず、正当に入手したものも含まれるのであって、チケット不正転売禁止法3条がチケットの入手過程を含めて処罰する趣旨とは認められない

この事件の概要について教えてください。

被告人らが人気アイドルグループのコンサートにかかるチケットを不正な方法で入手し、販売

判決文抜粋

  • 被告人Aを懲役2年6月及び罰金50万円に、被告人Bを懲役2年及び罰金50万円に処する。被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。
  • 本件は、被告人らが人気アイドルグループのコンサートにかかるチケットを不正な方法で入手し、販売価格を超える価格で不正に転売した事案である。
  • チケット不正転売禁止法3条がチケットの入手過程を含めて処罰する趣旨とは認められない。そのため、チケットの不正転売に加え、不正入手した電子チケットのパスワード等の収受について組織犯罪処罰法を適用することは妨げられない。
  • 架空人名義等を用いてファンクラブに多数のアカウントを登録し、抽選に当たる確率を高めてチケットを入手した。また、転売するチケットを増やすため、より手広く不正入手を行っている転売ヤーからチケットを購入することもあった。
  • ファンクラブの規約上、一人につき一つのアカウントしか登録できないのであるから、本件は規約を遵守する者がチケットに当選する確率を著しく減少させる悪質な犯行であり、犯情は芳しくない。
  • 業として行った不正転売に見合う罰金刑は併科する。他方、被告人らが得た利益は自ら良い席を購入する代金に充てられており、仕組みに翻弄された面も否定できない。事実を認め反省していることや前科がないことも考慮し、懲役刑については執行を猶予した。

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